フェリーに車を載せて巡る鹿児島。桜島と垂水、火山と海を望む旅

鹿児島を象徴する景色のひとつ、桜島。ときには噴煙を上げ、どっしりと構える桜島への旅は、鹿児島の鴨池港から出航するフェリーで訪れるのが面白い。というのも、人だけでなく車を載せることができる。対岸の垂水エリアに到着したら、ふたたび車で移動が可能だ。そして、桜島では溶岩原や展望所を巡り火山の息吹を肌で感じ、海と山に抱かれた穏やかな垂水エリアでは美しい自然とおいしい地元の食を堪能。移動を楽しむ、1泊2日の車旅。
車とともにフェリーで垂水エリアへ
鹿児島湾(錦江湾)と雄大な桜島を望むロケーションに佇む「フェアフィールド・バイ・マリオット・鹿児島たるみず桜島」。旅の拠点としてはもちろん、テラスからは桜島と海を望むロケーションが魅力。
08:00 鹿児島中央駅
08:15 LUCK APARTMENT
09:10 鴨池港
10:20 垂水港フェリーターミナル
11:00 みなと食堂
13:00 神川大滝公園
15:00 菅原神社
16:00 フェアフィールド・バイ・マリオット・鹿児島たるみず桜島
Day1 総移動距離 90km
Day1 合計移動時間 約3 時間 40 分
旅のはじまりは鹿児島市街から。隣接するフェリーターミナルで車を船に載せ鹿児島湾を渡っていく。ひとつめの目的地は鹿児島湾の東岸に広がる垂水エリア。海と山に抱かれた穏やかな港町で、桜島を間近に望むロケーションが最大の魅力だ。湾越しに移ろう火山の表情が日常に溶け込む景色を旅していく。
***
約15分
鹿児島中央駅を出て、市電を横目に港方面へと車を進める。
街に開かれたカフェ「LUCK APARTMENT」
受け継がれるジャズ喫茶の余韻
フェリーに乗る前に立ち寄ったのは、鹿児島市役所のすぐそばにあるカフェ「LUCK APARTMENT」。6時30分に開店し、朝早くからおいしいラテが味わえるのがうれしい。
フレンドリーな印象のマスター・福永さんによると、平日は近くで働く人たちが通勤前や昼休みに訪れることが多く、週末には店内でさまざまなイベントを開催しているため、若い世代の来店も多い。フェリー乗り場の近くに位置するので海外からの観光客もよく訪れるという。
店内でひときわ目を引くのが、大量のレコードと重厚なサウンドシステム。これらは、市内で長年親しまれてきた有名ジャズ喫茶のものを受け継ぎいだもので、いまも大切に使っているそうだ。ときには、その喫茶店の常連だった人が足を運び、懐かしむようにレコードに耳を傾けていくこともあるという。世代を問わず人が集まるこの店の空気は、福永さんが地に足をつけて営んできた姿勢によるところも大きいのだろう。
フェリーに車を載せて鹿児島湾を渡る
鴨池港から垂水港へ。日常の一部分としての船旅
カフェで一息つき、次の目的地である「鴨池港」へ向かう。鹿児島市と垂水市を結ぶフェリーに車ごと乗り込むためだ。初めての車での乗船に少し不安はあったが、誘導員の指示に従うまま船内へと進み、無事に乗船できた。
車を降りて客室へ向かうと、目に入ったのがうどんコーナー。垂水フェリー名物「南海うどん」だ。40分ほどの航行の合間にうどんを味わうのが、このフェリーならではの楽しみらしい。桜島を眺めながら味わう一杯は、これから始まる旅の気分をいっそう高めてくれた。
桜島と鹿児島湾の美しい景色を眺めていると、あっという間に垂水港へと到着。アナウンスに促されて車へ戻り、誘導員の指示に従って下船する。こうした車でのフェリー移動は、この土地ではごく当たり前の風景なのだろう。
約30分
上陸した大隅半島には、鹿児島市内とはまた異なる、どこか南国らしい空気が漂っていた。
カンパチ尽くしの一膳「みなと食堂」
漁協直営ならではの新鮮な味
鹿屋漁港に到着して向かったのは、鹿屋市漁協直営の食堂「みなと食堂」。水揚げされたばかりの「かのやカンパチ」を使った料理が味わえる。さっそく一番人気の「かんぱち漬け丼定食」を注文。プリッとした新鮮な身に、ほどよく染みた漬け醤油がよく合う。鹿児島らしい甘く濃厚な醤油の味に、食文化の違いを感じる。これも旅も醍醐味のひとつだ。頭のアラ炊きや味噌汁にもカンパチが使われていて、まさにカンパチ尽くしの贅沢な一膳だった。
ちなみに鹿児島はカンパチの養殖が日本一。水揚げされたばかりの新鮮な味わいを楽しむことができた。名産品をその土地で味わう。これ以上の贅沢はないだろう。「みなと食堂」には多くの観光客が訪れ、佐多岬へ向かうバイカーたちの集合場所にもなっているようだ。口コミで評判が広がり、いまでは旅人たちがおのずと集まる一軒になっている。
滝と歩く時間「神川大滝公園」
吊り橋と遊歩道で巡る複数の滝
国道269号線を鹿児島湾沿いに南下して訪れたのは、大隅半島の自然を体感できる景勝地「神川大滝公園」。園内には、落差約25メートル・幅約30メートルの「神川大滝」をはじめ複数の滝が点在し、滝の間近まで歩いて行ける遊歩道や吊り橋も整備されている。視点を変えながら、ダイナミックな景観を楽しめる場所だ。
実は、鹿児島は滝が多い。豊富な降水量と火山由来の地形が、美しい滝が流れ落ちる景観を育んだという。「神川大滝」の滝しぶきを感じながら歩いていると、大隅半島の自然のスケールがじわりと伝わってくる。道中の疲れもやわらぎ、心身ともに整えられるようなひとときだった。
岩山に鎮座する社「菅原神社」
合格願う絵馬と海の眺め
続いて立ち寄ったのは「菅原神社」。学問の神様として名高い菅原道真公が祀られており、岩場を登った先にある社殿には、合格を願う絵馬が数多く掛けられていた。学業成就や合格祈願に訪れる人も多く、とりわけ受験シーズンには学生や家族連れでにぎわうようだ。
境内では地元の方と思われる人が丁寧に手入れをしており、この場所が日々の暮らしと深く結びついていることが伝わってきた。「菅原神社」は、開聞岳や桜島を望む岩山に鎮座し、景勝地としても人気を集めているが、垂水という土地に根差した大切な場所なのだ。
テラスと客室からの絶景「フェアフィールド・バイ・マリオット・鹿児島たるみず桜島」
地元の一滴「八千代伝酒造」を味わう
本日のホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット・鹿児島たるみず桜島」にチェックイン。スタッフから「今日は天気がいいので、4階のテラスから桜島がよく見えますよ」と案内され、さっそく足を運ぶ。そこには桜島を一望できる開放的な景色が広がっていた。
オーシャンビューの客室からも鹿児島湾を望み、ゆるやかな波音が耳に届く。夕食を済ませ、館内のマーケットプレイスをのぞくと一本の焼酎が目に留まった。「農業法人八千代伝酒造」の八千代伝(黒)。地元・垂水市の猿ヶ城渓谷で造られているという、量販店にはあまり出回らない一本だ。フロントでグラスを受け取り、フリーカフェの製氷機で氷を入れてロックで味わう。コクのある口当たりに、ほのかな甘みが広がる。
ホテルスタッフに話を聞くと、酒蔵の見学も可能とのこと。迷うことなく、翌日の旅程に組み込むことにした。