
30 days Road Trip Reporter : ブログ6 -岐阜編-
日本各地を巡る世界でもっとも魅力的な旅 :フェアフィールド・バイ・マリオット 道の駅プロジェクト30日間の旅レポート(第6部)
岐阜県の探訪:伝統と自然の傑作が出会う場所
岐阜県は、日本の山岳地帯の中心部に位置し、比類なき美しさと文化的価値を誇る地域です。清らかな川、伝統的な和紙づくり、そして江戸時代の町並みが色濃く残るこの地は、まさに歴史と自然の中を旅するようでした。
私は4日間、フェアフィールド・バイ・マリオット・岐阜美濃を拠点にし、美濃市とその周辺の豊かな歴史、息をのむような景観、そして魅力あふれる食文化を探訪しました。美濃市は、長良川のほとりに佇み、岐阜の文化遺産への玄関口ともいえる場所です。江戸時代の商家が立ち並ぶ「うだつの上がる町並み」は、かつての住人の財力を象徴する独特の防火壁が残されているのが特徴的です。また、美濃市は、ユネスコの無形文化遺産にも登録された美濃和紙の産地としても広く知られており、この和紙は繊細な提灯や傘を作るために使用されています。美濃の町を歩いていると、まるで博物館の中を巡っているような感覚に包まれます。町のあらゆる建物が、それぞれの繁栄、職人技、そして地域の結びつきの物語を語りかけてくるかのようでした。
1日目:美濃での温かな歓迎
宿泊地:フェアフィールド・バイ・マリオット・岐阜美濃
三重県大台町から約3時間のドライブを経て、次の目的地であるフェアフィールド・バイ・マリオット・岐阜美濃に到着しました。コミュニティエリアは、床から天井までの大きな窓が特徴で、川の景色を遮ることなく楽しむことができました。春には、窓の外に満開の桜が広がり、息をのむほど美しい光景に変わります。いつものように、スタッフの皆さんが温かな笑顔で迎えてくれ、地元ならではのおすすめスポットを教えてくれました。
彼らのアドバイスに従い、まずは約10km先の関市へと向かいました。関市は、何世紀にもわたる刀鍛冶の伝統を誇り、日本刀の製作拠点として知られる歴史的な町です。夕食は、「やまなみ」という居酒屋へ。黒唐揚げは、外はカリッと香ばしく、中はジューシーな仕上がりでした。鮎の炊き込みご飯は、甘く繊細な風味が広がる一品でした。さらに、地元の飛騨牛を使った胡桃鍋は、濃厚で心温まる味わいでした。メニューには手描きのイラストが描かれており、遊び心が感じられる素敵な雰囲気でした。
2日目:移り変わる季節 – 岐阜の時を超えた美しさ
宿泊地:フェアフィールド・バイ・マリオット・岐阜美濃
この日は、ホテル特製の折り紙のように美しくデザインされた朝食ボックスから始まりました。ボックスの中には、おにぎり、漬物、繊細な和菓子が詰められていました。美濃が和紙の名産地であることを考えると、この凝ったデザインは、地域の伝統工芸への敬意を感じさせるものでした。見た目はもちろん、味も素晴らしく、一口ごとに岐阜の食文化を味わうことができました。
この日最初の目的地は、美濃から北へ30分ほどの郡上市にある「大滝鍾乳洞」でした。この神秘的な鍾乳洞は、まるでスタジオジブリの映画の世界に入り込んだかのような雰囲気を醸し出していました。洞窟に向かうため、小さな木造のトロッコ列車に乗り、森の中をゆっくりと進みました。鍾乳洞の内部は、狭く曲がりくねった通路が続き、静寂に包まれており、最奥部にはひっそりと佇む神秘的な祠がありました。暗闇の中を一人で歩くのは少し不気味でしたが、それと同時に旅の冒険心をかき立てる刺激的な体験でもありました。この鍾乳洞を抜けると、目の前には黄金色の光が降り注ぐ美しい森が広がっていました。少し立ち止まり、静かな森林浴を楽しみました。黄色く輝くイチョウの木々が風に揺れ、その葉がまるでキラキラと光る紙吹雪のように舞っていました。この光景を見ながら、「古きを手放し、新しく美しいものを迎え入れることの大切さ」を感じました。
そこから18kmほど車を走らせ、「古今伝授の里フィールドミュージアム」へ向かいました。この博物館は、1993年に開館した野外博物館で、中世の郡上藩主にまつわる歴史や、古今和歌集の文化を紹介する施設です。ここでは、歴史、建築、自然が見事に調和し、まるで生きた芸術作品の中を歩いているような感覚を味わいました。建物の設計は、周囲の紅葉をまるでギャラリーに飾られた絵画のように見せる工夫が凝らされていました。窓や回廊が、燃えるような赤やオレンジの紅葉を切り取るようにデザインされており、まさに日常の風景を芸術へと昇華させる空間でした。特に気に入ったのは、研修館「篠脇山荘」の池でした。静かな水面には、鮮やかな紅葉が映り込み、まるで時間が止まったかのような静寂に包まれていました。光と影のコントラストが美しく、心穏やかにリラックスすることができました。
次に向かったのは「郡上八幡」。この町では、水路や石畳の道がまるで江戸時代へとタイムスリップしたかのような感覚を与えてくれました。町全体に張り巡らされた水路や噴水、運河は、1600年代とほぼ変わらない形で現在も機能しており、持続可能な生活スタイルの一端を垣間見ることができました。これらの水路は、単なる風景の一部ではなく、今なお生活の中で重要な役割を果たしており、米や野菜を洗う場としても使われています。職人町や鍛冶屋町の古い通りを歩いていると、かつてここで活躍していた職人や鍛冶師たちの声が聞こえてくるようでした。こうした通りは、それぞれの伝統産業にちなんで名付けられたもので、江戸時代の建築が美しく保存された家々の間を水路が流れ、まるで歴史の中を歩いているような気分にさせてくれました。
柳町の武家屋敷地区は、郡上八幡の歴史にさらに深みを加える場所でした。ここでは、「うだつ」と呼ばれる特徴的な防火壁が家々を隔てており、これは武家屋敷に特有のデザインです。この建築様式は、侍の身分や伝統を反映しており、かつての時代を垣間見ることができる貴重な窓のような存在でした。郡上八幡の町を歩きながら、ここに根付いた昔ながらの暮らしの本質が今も変わらず息づいていることを強く感じました。文化的・建築的遺産を保存しながら、現在も機能する水路を維持し続けているこの町は、日本が歴史とどのように向き合い、それを継承してきたかを象徴する「生きた証」とも言える場所でした。
昼食は「いづみや」で、名物のカレーうどんをいただきました。もちもちとした太麺と、濃厚で旨味たっぷりのカレースープが絶妙に絡み合う、満足感のある料理でした。深みのある味わいと心温まる風味は、町の散策を続ける前のエネルギーチャージにぴったりでした。
デザートには、「郡上のさとちゃん」に立ち寄り、栗がたっぷり詰まった季節限定のお菓子を楽しみました。旧市街の建物の間には、無数の魅力的なカフェが隠れるように点在しています。特に気に入ったのは、「SUPPLE COFFEE ROASTERS」と「糸CAFE」。どちらも素晴らしいコーヒーを提供しており、このエリアの郷愁漂う雰囲気を味わいながら、ゆったりとした時間を過ごすことができました。
日が傾き始める頃、私は郡上八幡城へと向かいました。この城は、戦国時代の1559年に遠藤盛数によって築かれた「山城」で、古い町並みを見下ろす高台にそびえ立っています。紅葉に囲まれた城の景色は、まるで燃え上がるように鮮やかで、その葉は地面を美しく染め上げていました。閉館直前に到着したため、城内の広場には私一人だけという贅沢な時間を過ごすことができました。夕暮れ時、黄金色の光に包まれた町を一望する景色は息をのむほど美しく、しばし時を忘れて見入ってしまいました。夜が更けるにつれ、ライトアップされた城が暗闇の中に浮かび上がり、秋の紅葉と調和した幻想的な雰囲気を醸し出していました。
夕食は、ホテルの近くにある「陣屋」で岐阜県名産の飛騨牛の焼肉を堪能しました。職人技が光る見事な焼き加減の飛騨牛は、柔らかく、口の中でとろけるような食感でした。そこに、店主が何十年もかけて完成させた秘伝の焼肉ダレが加わり、一層旨味が引き立ちます。一口食べるごとに、店主の焼肉に対する情熱と技が感じられ、シンプルな料理が忘れがたい食体験になりました。
3日目:岐阜の自然・精神・工芸
宿泊地:フェアフィールド・バイ・マリオット・岐阜美濃
フェアフィールド・バイ・マリオット 道の駅ホテルは、地域の企業と提携し、温泉の割引や文化体験など、宿泊客限定の特典を提供することがよくあります。この美濃のホテルでは、駐車場を挟んだ向かいにあるファミリーマートで、ホテルのルームキーを提示すると500円の割引が受けられます。このお得な特典を利用し、ファミチキ、おにぎり、コーヒーを手に取り、朝食を済ませてから一日の旅へと出発しました。
ホテルから車で30分の場所にある「モネの池」は、まるで絵画がそのまま現実になったかのような隠れた名所です。透き通るようなターコイズブルーの水面には、繊細な睡蓮が浮かび、色鮮やかな錦鯉が優雅に泳いでいました。この風景は、クロード・モネの名作「睡蓮」シリーズを思わせるほど美しく、周囲の赤く色づいたカエデの葉が水面に映り込み、緑とのコントラストが幻想的な色彩を生み出していました。
静かな池のほとりに立つと、まるで生きた芸術作品の一部になったような気分になり、自然と創造性が完璧に調和する瞬間を感じました。
次に訪れたのは、大矢田神社。この神社は、天王山のふもとに広がる「楓谷(かえでだに)渓谷」に佇み、自然と精神性が見事に融合した神聖な場所です。この渓谷は、国の天然記念物にも指定されており、3,000本以上の山もみじが紅や黄金に染まり、秋の風景としてはまさに傑作といえる美しさを誇ります。この神社は約2,000年前に創建され、現在の社殿は1672年に建てられました。建物には精巧な彫刻が施され、日光東照宮を思わせる鮮やかな彩色が目を引きます。江戸時代初期の壮麗な建築様式が見事に保存されており、その歴史の重みを感じました。千年以上も生き続ける古木の間を歩いていると、その年月の長さに圧倒されると同時に、彼らが見てきた歴史に思いを馳せずにはいられませんでした。これほどの歳月を経てもなお力強く生き続ける木々を前にすると、自分の人生がどれほど小さなものかを思い知らされました。 美濃へ戻り、昼食は旧市街にある「まる伍そば」でいただきました。築140年の「うだつ」のある建物を利用したこのお店では、手打ちそばと軽くサクサクに揚がった天ぷらを提供しています。そばの素朴で香ばしい風味と、繊細な食感の天ぷらが絶妙に組み合わさり、バランスの取れた満足感のある食事となりました。
午後は、美濃の「うだつの上がる町並み」を散策し、時を超えた旅へ。ユネスコの世界文化遺産にも登録されたこの地区は、伝統的な日本建築が残る貴重な場所です。江戸時代(1603~1868年)には商業の中心地として賑わったこの地区は、今もなお当時の雰囲気を色濃く残しています。防火のために設けられた「うだつ」は、かつての商人たちの財力と地位の象徴でもあり、その豪華さは歴史の名残を物語っていました。この保存地区を歩いていると、まるで生きた博物館の中を旅しているような感覚に包まれました。国の重要文化財に指定されている「旧小坂家住宅」や、市の文化財である「旧今井家住宅」の庭園や立派な蔵を見学し、美濃の繁栄と職人技の粋を垣間見ることができました。さらに魅力を添えていたのは、町に点在する職人の工房でした。ここでは、美濃市の名産品である「美濃和紙」の制作工程を見学することができました。「美濃和紙あかりアート館」では、繊細なデザインのランタンが展示されており、そのやわらかな光が空間を幻想的に照らし出していました。旧市街には、五感を楽しませてくれる名店が数多くありました。「喜楽精肉店」のコロッケや、「登美家」の小豆を使った和菓子は、どこか懐かしく、心温まる味わいでした。また、「Happa Stand」「美濃まちやMam’s」「Soi-meme」などのカフェでは、コーヒーと甘いお菓子を楽しみながら、ゆったりとしたひとときを過ごしました。この小さな町の至るところに、歴史と伝統が織りなす物語が息づいていました。視覚や味覚だけでなく、心の奥深くに響くような、地域の豊かな遺産との深いつながりを感じることができました。
夕食は、1912年創業の老舗居酒屋「山水本店」で名物の「うどん鍋」をいただきました。ぐつぐつと煮える鍋の中で、濃厚な出汁をたっぷりと吸い込んだうどんは、もっちりとした食感で、食べるたびに心がほっと温まりました。この一杯は、美濃の歴史と職人技に浸った一日の締めくくりにふさわしい、最高の料理でした。
4日目:岐阜の悠久の美との別れ、そして本州への旅の締めくくり
岐阜での旅の終わりを迎えながら、私はこの地だけでなく、九州の温かな魅力から始まり、岐阜の荘厳な風景に至るまでの24日間の本州横断の旅を振り返っていました。本州の広大な道を何千キロも駆け抜ける中で、私は歴史、芸術、そして自然が完璧に調和した、無数の隠れた名所を発見しました。 岐阜の旅は、まさにこの旅の本質を凝縮したようなものでした。大滝鍾乳洞を囲む黄金色の森、モネの池の水面、郷土料理、そして美濃和紙に息づく匠の技──この地のすべてが、日本の伝統と「生きる」ことの美しさを讃える、豊かな体験をもたらしてくれました。
しかし、私の心に最も深く刻まれたのは、絶景そのものではなく、この静かな地域で出会った人々の温かさと、そこに流れる穏やかな時間でした。地元のレストランでの心のこもったおもてなしや、和紙職人の繊細な手仕事との出会いは、日々のささやかな美しさや、人と人とのつながりを大切にすることを改めて教えてくれました。
この旅は、日本の豊かな文化を巡る旅であると同時に、私自身の心の奥深くに触れる精神的な旅でもありました。学んだこと、感じたことすべてが、今この瞬間を大切にし、過去の物語に敬意を払い、日常の小さな奇跡に感謝することの大切さを思い出させてくれました。 岐阜──そして本州全土は、文化、伝統、そして自然の驚異が織りなす生きたタペストリーとして、私の心に永遠に刻まれることでしょう。